判例時報 No.2297
平成28年8月11日 号 定価:845円
(本体価格:768円+10%税)
法曹実務にとっての近代立憲主義
─―第八回 平等原則 個人の尊重からの判例アプローチ─―……宮川光治
現代型取引をめぐる裁判例(401)……升田 純
■判決録
<行政> 2件
<民事> 5件
<商事> 1件
<経済> 1件
<労働> 2件
<刑事> 2件
◆記 事◆
法曹実務にとっての近代立憲主義――第八回 平等原則 個人の尊重からの判例アプローチーー……宮川光治
現代型取引をめぐる裁判例(401)……升田 純
◆判決録細目◆
行 政
◎特別の利害関係を有する理事が加わって行われた漁業協同組合の理事会の議決の効力
(最二判平28・1・22)
▽担任する生徒へのわいせつな内容を含む多数のメール送信をしたことなどの理由により教員を免職とした懲戒処分に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとした事例
(東京地平27・10・26)
民 事
◎米国法人がウェブサイトに掲載した記事による名誉等の毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について、民訴法三条の九にいう「特別の事情」があるとされた事例
(最一判平28・3・10)
○外国為替証拠金取引(FX取引)への投資勧誘に応じて損害を被った投資者が、勧誘に当たった会社のバーチャルオフィスの総務責任者として連絡先となった者及び電話回線の貸与を受けて同社に提供した者に対してした損害賠償請求が一部認容された事例
(東京高判平28・1・27)
○認可外保育施設における乳児の死亡事故につき、うつ伏せ寝による窒息死であるとして、施設の経営者らの不法行為責任を認めた事例
(大阪高判平27・11・25)
▽投資信託の販売委託者及び販売委託を受けた金融機関に、顧客に対する説明義務違反等がないとされた事例
(東京地判平27・11・26)
▽一 債務者の行為が詐害行為となるか否かは、目的物の処分行為当時の情態によってこれを決すべきであり、詐害行為として主張される行為が不動産の物権の譲渡である場合には、登記手続当時の情態を基準として決すべきではないとされた事例
二 処分行為当時に目的不動産にその時価額を超える極度額の根抵当権が設定されており、かつ、その極度額を上回る被担保債権額が存在している場合には、根抵当権に劣後する一般債権者が処分行為により害されるとはいえないとされた事例
(札幌地判平27・11・13)
商 事
▽末期肺がん状態の被保険者が自宅で入浴中に死亡したことについて、外来の事故であることは認めたが、疾病免責条項に該当するとして保険金請求が否定された事例
(東京地判平27・12・14)
経 済
▽一 傘下組合員が支払った取引手数料の一部について協同組合連合会が割戻しを受ける旨の合意が中小企業等協同組合法上の団体協約にあたらないとされた事例
二 右合意が公序良俗(独占禁止法等)に違反するものではないとされた事例
(仙台地石巻支判平25・9・26)
労 働
◎過重な業務によって労働者に鬱病が発症し増悪した場合において、使用者の安全配慮義務違反等に基づく損害賠償の額を定めるに当たり、当該労働者が自らの精神的健康に関する一定の情報を使用者に申告しなかったことをもって過失相殺をすることができないとされた事例
(最二判平26・3・24)
○NHKと集金業務等に従事する者との間の委託契約は労働契約とは認められないとされた事例
(大阪高判平27・9・11)
刑 事
◎刑事施設にいる被告人から交付された上訴取下書を刑事施設職員が受領した場合と刑訴法三六七条の準用する同法三六六条一項にいう「刑事施設の長又はその代理者に差し出したとき」
(最二決平26・11・28)
○被告人が、暴力団員である被害者らを挑発して被害者らの攻撃を招き、これに対する反撃として被害者を突き刺して殺害した行為について、正当防衛・過剰防衛の成立に必要な急迫性を欠くとされた事例
(東京高決平27・6・5)