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判例時報 No.2388*
             平成31年1月21日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

現代型取引をめぐる裁判例(438)……升田 純
 
国際刑法の窓(18)
 ──サイコパスの話──……森下 忠
 
■書評
明田作 著 『農業協同組合法〔第二版〕』
評者 荻野貴久
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 7件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 2件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例(438)……升田 純

国際刑法の窓(18)
 ──サイコパスの話──……森下 忠

◆書 評◆

明田作 著『農業協同組合法〔第二版〕』(経済法令研究会、二〇一六年)
評者……荻野貴久

◆判決録細目◆

行 政

▽共同住宅に設けられた自動車車庫が、「直接地上へ通ずる出入口のある階」(建築基準法施行令一三条一号)に設けられているとはいえず、自動車車庫部分に「避難階段」(同施行令一二三条参照)が設置されていないため、東京都建築安全条例三二条六号に違反するとされた事例

(東京地判平30・5・24)

民 事

○子の常居所地国を米国と認定した上で、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律二八条一項四号の返還拒否事由の主張等を排斥して、子の米国への返還を命じた事例

(大阪高決平29・7・12〈参考原審:大阪家決平29・4・26掲載〉)

○被扶養者(母)の二男が、被扶養者の長男及び三男に対し、被扶養者の扶養料の支払と被扶養者及び亡夫への過去の扶養料の求償を求めた事案について、子の老親に対する扶養義務は生活扶助義務であることを前提として、扶養料の額は被扶養者の生活維持に要する最低生活費から被扶養者の収入を差し引いた額を超えず、かつ、扶養義務者の余力の範囲内とすべきであり、また、扶養義務者の分担額を検討するに際しては、扶養義務者の配偶者の収入を斟酌することができるとして、扶養料及び過去の扶養料の求償額を定めた事例

(広島高決平29・3・31)

○夫から妻に対して申し立てられた未成年の子(一二歳、九歳)との面会交流を認める審判が抗告審において実施に当たっての諸条件が整っていないとして取り消され、申立てが却下された事例

(札幌高決平30・2・13〈参考原審:札幌家審平29・11・8掲載〉)

○雑誌の記事が人格権(名誉権・プライバシー権)の侵害に当たるとして、同記事が掲載された雑誌の販売、頒布の禁止等を命ずる仮処分が認められた事例

(札幌高決平30・5・22)

▽大阪府の住民が、北朝鮮によるミサイル攻撃を受ける危険を理由として、高浜原発の運転差止めを求めた事例

(大阪地決平30・3・30)

▽一 娩出した胎児に低酸素性脳症及び脳性麻痺が発症し身体機能障害が生じた事故について、出産を担当した産婦人科医の処置につき、子宮収縮薬、麻酔薬の投与量及びその点滴装置の利用方法、胎児の吸引分娩及びクリステレル圧出法の適否の判断、分娩監視装置の不装着並びに帝王切開の遅れ等に関して過誤があったが、かかる過誤と脳性麻痺等の結果との間には因果関係が認められないとした事例
二 分娩中の低酸素が脳性麻痺の原因となるかについて、米国産婦人科学会の産科臨床委員会の基準(ACOGの基準)に依拠して判断した事例

(京都地判平30・3・27)

▽みかじめ料を支払わない性風俗店の経営者らに対して暴力団員らが加えた襲撃等の不法行為につき、最上位の指定暴力団の会長の使用者責任を肯定した事例

(広島地判平30・5・30)

商 事

○虚偽の有価証券報告書の提出により罰金及び課徴金を負った場合において、その不法行為の幇助者に対して罰金等相当額の損害賠償請求をすることは許されないとした事例

(東京高判平29・6・15〈参考原審:東京地判平28・3・31本誌2335号57頁掲載〉)

労 働

○日雇派遣ないし日々職業紹介により就労先で就労した労働者の給料の支払につき、派遣元ないし就労先が、給料日前日に給料を受け取るには一〇五円ないし三一五円の振込手数料を要する「即給サービス」というシステムを用い、賃金から右振込手数料を天引きしていたことが、賃金の全額払いの原則を定めた労働基準法二四条一項に違反し、これに違反することは、不法行為における違法性を構成するもので、労働者の経済的利益だけでなく人格的利益も侵害するとして、慰謝料の支払が命じられた事例

(東京高判平30・2・7〈参考原審:さいたま地川越支判平29・5・11本誌2355号97頁掲載〉)

刑 事

▽無線LANアクセスポイントへの接続に必要なWEP鍵は、電波法一〇九条一項にいう「無線通信の秘密」には当たらないとされた事例

(東京地判平29・4・27)

▽窃盗保護事件において、少年には保護処分歴がなく、非行事実の結果も軽微であるものの、その資質、保護環境等に鑑み、社会内処遇によって少年の再非行を防止し、その改善更生を果たすことは極めて困難であるとして、少年を第一種少年院に送致した事例

(東京家決平29・7・14)

※訂正箇所

●本誌37頁・4段・31行目
 誤 …当裁判所の判新
 正 …当裁判所の判断

●本誌40頁・3段・19行目
 誤 …表慮した上で
 正 …考慮した上で

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