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判例時報 No.2339 臨時増刊
             平成29年9月25日 号 定価:1980円 (本体価格:1800円+10%税)

■特集
 東京電力福島第一原発群馬訴訟第一審判決
  (前橋地判平29・3・17)
  解説
  判決全文
 
 原発事故避難者訴訟 群馬訴訟について……関 夕三郎
 
 福島原発事故避難者賠償請求群馬訴訟第一審判決の検討
  ――国の責任を中心に――……岡田正則
 
 岐路に立つ裁判官(6)
  ふるさとへの帰還を求めて……大塚正之


特 集

東京電力福島第一原発群馬訴訟第一審判決

 (前橋地判平29・3・17)

1 福島第一原発事故により福島県内から県外へ避難した者らの、同原発を運転等する電力会社に対する原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)3条1項に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

2 福島第一原発事故において、同原発を運転等する電力会社につき、同事故を発生させる規模の津波が到来することの予見可能性を肯定した事例

3 Xらにおいて、ある程度の内容の結果回避措置を主張立証した場合には、Y₁において、当該措置では本件事故を回避できなかったことについて、具体的に問題点を指摘し、これを裏付ける証拠を提出すべきであるとした上、結果回避可能性を肯定した事例

4 避難を余儀なくされたXらの被侵害利益を、自己実現に向けた自己決定権を中核とした人格権としての平穏生活権であるとし、その内実を、①原子力発電に関わる放射性物質によって汚染されていない環境において生活し、放射線被ばくへの恐怖不安にさらされない利益、②人格発達権、③居住移転の自由及び職業選択の自由並びに④内心の静穏な感情を害されない利益を包摂する権利であるとした事例

5 本件事故の発生と個別のXらが被った損害との相当因果関係の有無を判断するに当たっては、生活の本拠を移転したXの,本件事故当時の生活の本拠,特に,その生活において被ばくすると想定される放射線量が,本件事故によって相当なものへと高まったかどうかや,年齢,性別,職業,避難に至った時期及び経緯等の事情並びに当該移転者が接した情報の下において,当該居住地の移転が,本件事故との関係で法的に相当といえるかどうかについて個別に検討することが適切であるとした事例

6 慰謝料の考慮要素となる事情については、当該事情が故意又は重過失に該当するか否かといった規範的評価を経る必要はないことを判示した事例

7 Y₁が、慰謝料以外の損害に対して賠償したことは、慰謝料減額の考慮要素にならないとした事例

8 Xらの慰謝料を算定する際の考慮要素として、被告である電力会社の非難性の強さを考慮した事例

9 技術基準適合命令に関する電気事業法の規定は、行政庁の専門技術的事項に関する裁量を許容しているから、Y₂の規制権限不行使が国賠法上違法となるのは、経済産業大臣が技術基準適合命令を行使しなかったことが、具体的事情の下において、許容される限度を超えて著しく合理性を欠くといえる場合にのみ限られるとした事例

10 Xらの主張する結果回避措置は、いずれも詳細設計に該当し、電気事業法40条に基づく技術基準適合命令を発出する対象となるとした事例

11 福島第一原発を運転等する電力会社に対して規制権限を有しており、当該権限を適時適切に行使すべき立場にあるにもかかわらずこれを怠った規制権限不行使の違法があるとして、福島第一原発事故により福島県内から県外へ避難した者らの、国に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

解説
判決全文

〈前橋地裁判決をめぐって〉

原発事故避難者訴訟 群馬訴訟について……関 夕三郎

福島原発事故避難者賠償請求群馬訴訟第一審判決の検討
 ――国の責任を中心に――……岡田正則

〈参考文献〉

岐路に立つ裁判官(6)
 ふるさとへの帰還を求めて……大塚正之

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