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判例時報 No.2196
             平成25年11月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 大竹昭裕 見上崇洋 渡辺達徳 川 淳一 本間康規
 青木大也 谷脇真渡 内田博文 岡田悦典
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 2件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

行 政

▽一 普通地方公共団体の長が補助金の支出をする旨の債務負担行為を専決処分によって行ったことにつき、その専決処分に地方自治法一七九条一項の要件を欠く違法があるとして、右専決処分をした長の不法行為責任が認められた事例
二 右専決処分に基づく贈与契約は違法ではあるが、同契約の相手方が、同契約が適法に締結されたものと信じ、そう信じることにつき正当な理由があったという事情の下では、同契約が私法上無効とまではいえないとされた事例

(千葉地判平25・3・22)

民 事

○一 新築住宅について雨漏り、窓の腐食、変色が認められる場合に、請負人に設置上の瑕疵があるとされた事例
二 品確法九四条の適用が認められ、請負人の担保責任が認められた事例

(東京高判平25・5・8)

▽一 不正改造が原因で発生したガス湯沸器の不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故につき、当該ガス湯沸器の製造・販売業者には、結果予見義務及び結果回避義務があったのにこれらを怠ったとして、不作為の不法行為責任が認められた事例
二 ガス湯沸器の不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故について、ガス事業者の不作為の不法行為責任及びガス供給契約上の債務不履行責任(ガス事業者としての安全配慮義務違反)のいずれも否定された事例

(東京地判平24・12・21)

▽国会が民法七五〇条を改正して選択的夫婦別氏制度を設けないという立法不作為は、国家賠償法上違法な行為に該当するとはいえないとされた事例
(東京地判平25・5・29)

▽私立高校の校長の生徒指導の際における叱責に違法性がないとして、校長の不法行為責任、学校法人の安全配慮義務違反及び使用者責任が否定された事例

(広島地判平25・2・15)

▽市の福祉事務所職員による生活保護申請の不受理、開始決定後の不履行、生活保護申請の自粛勧告が違法であるとして、市の国家賠償責任が認められた事例

(さいたま地判平25・2・20)

▽七五歳の女性客がショッピングセンターのアイスクリーム売場で転倒受傷した事故につき、ショッピングセンター運営会社の不法行為に基づく損害賠償責任が認められた事例(過失相殺二割)

(岡山地判平25・3・14)

知的財産権

○数量的に可分な債権の一部につき訴えを提起したとしても、当該訴訟においてその残部について権利を行使する意思を継続的に表示していると認められる場合には、当該残部の債権についても消滅時効の進行が中断するものと解すべきであり、当該訴訟係属中に訴えの変更により残部について請求を拡張した場合には、消滅時効が確定的に中断するとして、被控訴人の職務発明の対価請求が認容された事例

(知的財産高判平25・4・18)

▽餃子・焼売のカートンに使用するために作成されたイラストの著作物について、その許諾の期間及び範囲が争われた事例

(東京地判平24・9・27)

労 働

○一 郵便事業会社の従業員が、酒気帯び運転等により逮捕され罰金刑に処せられたことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事例
二 一掲記の従業員に対する退職金不支給につき、永年の勤続の功を抹消するほどの重大な背信行為とまではいえないとして、会社に退職金の約三割に当たる退職金の支払が命じられた事例

(東京高判平25・7・18)

刑 事

○一 監禁と強制わいせつ罪とが観念的競合の関係にあるとされた事例
二 強制わいせつ罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法七条三項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

(東京高判平24・11・1)

判例評論

六五 国籍留保制度の合憲性

(東京地判平24・3・23)……大竹昭裕

六六 収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合に審査請求がされたときにおける収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間

(最三判平24・11・20)……見上崇洋

六七 貸金業者Yの完全子会社である貸金業者Aが、その顧客Xとの間の基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る債権をYに譲渡した場合において、YがAのXに対する過払金返還債務を承継したとはいえないとされた事例

(最二判平24・6・29)……渡辺達徳

六八 内縁解消後、財産分与の審判手続中に分与義務者が死亡した場合における財産分与義務の相続性

(大阪高決平23・11・15)……川 淳一

六九 夫婦間の子をめぐる争いにつき審判前の保全処分として子の引渡しを命じる場合の要件と判断基準

(東京高決平24・10・18)……本間靖規

七〇 無効審判請求不成立審決の取消訴訟において、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」(商標法三条一項柱書)該当性の立証責任の負担を明らかにした上で、審決を取り消した事例

(知的財産高判平24・5・31)……青木大也

七一 遊客が周旋行為の介在を認識していなくても売春防止法六条一項の周旋罪が成立するとされた事例

(最一決平23・8・24)……谷脇真渡

七二 一 前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合の証拠能力

 二 前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いることが許されないとされた事例
(最二判平24・9・7)……内田博文

七三 刑事確定訴訟記録法に基づく第一審判決書の閲覧の許否

(最三決平24・6・28)……岡田悦典

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