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判例時報 No.2178
             平成25年5月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 村上裕章 高野幸大 佐藤 薫 小嶌典明 晴山一穂 堤 和通
 
■判例特報
 成年被後見人選挙権確認訴訟第一審判決
  (東京地判平25・3・14)
 
■判決録
<民事> 6件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<労働> 1件


◆判例特報◆

 成年被後見人は選挙権を有しないと定めた公職選挙法一一条一項一号の規定は、憲法一五条一項及び三項、四三条一項並びに四四条ただし書に違反し無効である

――成年被後見人選挙権確認訴訟第一審判決(東京地判平25・3・14)

◆判決録細目◆

民 事

◎根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権の譲渡が元本確定期日前にされた場合に譲受人が保証債務の履行を求めることの可否

(最二判平24・12・14)

○町企画の小学校の統廃合に反対する署名者名簿を使用して町長の命を受けた町職員が戸別訪問をしたことにつき、署名者らが表現の自由、請願権を侵害されたとして求めた国家賠償請求が認められた事例

(名古屋高判平24・4・27)

○NHK受信料債権は月額が定まった民法一六九条所定の金銭債権であって五年で時効が成立するとされた事例

(札幌高判平24・12・21)

▽登記手続を受任した司法書士の依頼者の意思能力の確認義務違反が否定された事例

(東京地判平24・6・27)

▽マンション管理組合が区分所有者に対し、管理費としてインターネットの利用費をその利用の有無にかかわらず請求できると規定した同組合の規約が適法とされた事例

(広島地判平24・11・14)

▽石綿セメント管の製造工程に従事した従業員につき、業務遂行中に石綿粉じんを吸引し石綿肺等の疾病に罹患したとして、会社に対する債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求が認容された事例

(高松地判平24・9・26)

知的財産権

○発光装置の発明において、特許請求の範囲の記載における「前記蛍光体の内部量子効率」とは、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含む蛍光体全体の内部量子効率を意味するとして、個別の蛍光体の内部量子効率を意味することを前提に、実施可能要件を否定した審決に誤りがあるとされた事例

(知的財産高判平25・1・31)

○商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し、不正競争防止法二条一項一号にいう「商品等表示」に該当するためには、①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され、又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により(周知性)、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要する

(知的財産高判平24・12・26)

商 事

○東大高区主催の春の祭礼における山車巡業において山車の前方で操縦していた男性が山車とカーブミラーに挟まれて死亡した事故につき、男性の母に対し同人との保険契約に基づき保険金を支払った保険会社が、同事故につき、前記祭礼の主催者又は責任者らには祭礼に参加する者の生命又は身体に対する安全配慮義務違反としての過失があり、主催者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権を代位取得したと主張して損害賠償を請求した場合に、祭礼の主催者又は責任者には安全配慮義務違反の過失はないとして請求が棄却された事例

(名古屋高判平24・7・24)

労 働

○過重労働による疲労の蓄積等が原因で自宅で失神、転倒し、外傷性頸髄損傷を受傷し、四肢不全麻痺の後遺症を残したとする安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求について、業務と転倒の因果関係が認められなかった事例

(大阪高判平24・6・8)

◆最高裁判例要旨(平成二五年二月分)

判例評論

二九 教職員国旗国歌訴訟(予防訴訟)上告審判決

(最一判平24・2・9)……村上裕章

三〇 一 法人が締結し被保険者である役員と保険料を折半した養老保険契約の満期保険金に係る一時所得の計算上、法人負担分保険料を控除することはできないとされた事例(①・②事件)

 二 養老保険の満期保険金に係る一時所得の計算上、法人負担分保険料も控除して申告したことについて、所得税基本通達の内容等のみでは過少申告加算税を課さない国税通則法六五条四項の「正当な理由」があるとはいえないとされた事例(②事件)
(①最二判平24・1・13、②最一判平24・1・16)……高野幸大

三一 小説の登場人物である「ターザン(Tarzan)」の標章を原作者と関わりのない第三者が商標登録することは公序良俗に反するとした事例――ターザン商標登録事件

(知的財産高判平24・6・27)……佐藤 薫

三二 協約締結組合が産業別労働組合として存続している等一定の条件の下では、労働委員会の発した救済命令の効力が、使用者に雇用されている当該労働組合の組合員がいなくなるなどの発令後の事情変更によって当然には失われないとされた例――熊谷海事工業事件

(最二判平24・4・27)……小嶌典明

三三 条件附採用地方公務員の免職処分の効力の執行停止が認められず、その一部である給与不払部分の一部のみに限定してこれが認められた事例

(東京高決平24・7・12)……晴山一穂

三四 組織的犯罪処罰法に基づいて、犯罪被害財産に対する没収・追徴を科す裁判を下す際にはその財産が犯罪被害財産である旨を主文で明示することを要するか(積極)

(福岡高判平22・8・5)……堤 和通

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