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判例時報 No.2468・2469(春季合併号)
             2021年3月11・21日 号 定価:1700円 (本体価格:1545円+10%税)

コロナ禍社会における法的諸問題
 ⑽コロナ禍社会で「繋がり」について考える……石塚章夫
 ⑾コロナ・パンデミックと法律……吉戒修一
 
死刑制度論のいま──基礎理論と情勢の多角的再考(8)
 死刑の認定・量刑に必要な適正手続とは何か……椎橋隆幸
 
◎特別寄稿
公判の不誠実な不行使と違法な起訴……船山泰範
 
現代型取引をめぐる裁判例(461)……升田 純
 
■判決録
<民事> 7件
<刑事> 3件


◆記 事◆

コロナ禍社会における法的諸問題
 ⑽コロナ禍社会で「繋がり」について考える……石塚章夫
 ⑾コロナ・パンデミックと法律……吉戒修一

死刑制度論のいま──基礎理論と情勢の多角的再考(8)
 死刑の認定・量刑に必要な適正手続とは何か……椎橋隆幸

◎特別寄稿

公判の不誠実な不行使と違法な起訴……船山泰範

現代型取引をめぐる裁判例(461)……升田 純

◆判決録細目◆

民 事

○1 区分所有建物の管理組合法人の役員である理事及び監事の選任に係る管理規約の定めで、役員候補者として選出されるために理事会の承認を必要とすることは、成年被後見人等やこれに準ずる者のように客観的にみて理事等としての適格性に欠ける者について承認しないことができるという趣旨の限度において、有効であるとされた事例
2 区分所有建物の管理組合法人の役員である理事及び監事の選任について、役員候補者として選出されるためには理事会承認を必要とする管理規約が定められている場合において、区分所有建物の管理組合法人の理事会が裁量の範囲を逸脱して区分所有者の役員への立候補を認めない旨の決定をしたときは、当該立候補者の人格的利益を侵害するものとして、違法であるとされた事例
3 区分所有建物の管理組合法人の管理規約において、役員である理事及び監事の選任について、役員候補者として選出されるためには理事会承認を必要とする条項が定められている場合において、区分所有建物の管理組合法人の理事会が裁量の範囲を逸脱して、区分所有者の役員への立候補を認めない旨の違法な決定をしたときであっても、管理規約において承認についての基準が明示されず、理事会の裁量を制限する定めもなく、前記条項の趣旨が裁判等によって明らかにされていたものではないなどの事情の下では、裁量の範囲を逸脱したことについて、過失がないとされた事例

(東京高判平31・4・17〈参考原審:東京地判平30・7・31〉)

〇建築作業従事者らが、石綿粉じんのばく露により健康被害を受けたとして石綿含有建材を製造・販売した企業等に対し、共同不法行為に基づき、損害賠償請求をした事案において、民法719条1項後段を類推適用して、概ね20%以上のシェアを有する建材メーカーが製造・販売した石綿含有建材であれば、建築現場にしばしば到達したことを是認し得る高度の蓋然性があるなどとして、共同不法行為責任が認められた事例

(東京高判令2・8・28)

○人身傷害補償保険会社が、被害者の同意を得て加害者の加入する自賠責保険金を回収した場合において、これを加害者の被害者に対する弁済に当たるとして、損益相殺を認めた事例

(福岡高判令2・3・19〈参考原審:福岡地判令1・8・7〉)

▽被告病院において肝臓の病態を把握するための経皮的肝生検を受けた患者が、担当医師に穿刺の際に誤って肺胞を傷つけられ、右脳梗塞(空気塞栓症)による左片麻痺と感覚障害の症状が残り、左上肢は拘縮のために機能全廃の後遺症が残存した事案において、被告病院に合計約1億3000万円の賠償が命じられた事例

(東京地判令2・1・23)

▽会社従業員の行った違法な会員権販売につき、会社及び代表取締役個人の不法行為責任を認めた事例

(京都地判令2・2・20)

▽普通河川からの流入水によって生じた被害について、普通河川管理の瑕疵が肯定された事例

(熊本地判令2・3・18)

▽原告が、前訴の損害賠償請求訴訟において原告の請求に否定的な意見を述べる鑑定をした鑑定人を被告として、前訴で請求が棄却された部分を損害として損害賠償を請求する訴訟を提起した場合、このような請求は、再審に関する民事訴訟法338条2項所定の事由に準ずるようなとき、又は被告の行為が著しく正義に反し、確定判決の既判力による法的安定性の要請を考慮してもなお容認し得ないような特別の事情があるときに限って許されるとした事例

(山口地下関支判令2・5・19)

刑 事

○少年が当時の交際相手である被害者に対して包丁を示して脅迫したという暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において、少年を第1種少年院送致とした原決定につき、非行についての評価は是認できず、要保護性についても、必ずしも認定の根拠が十分でない事実に基づく評価等を基に決定をした疑いがあり、処分が著しく不当であるとして、これを取り消した事例

(東京高決令2・4・2)

▽1 銃砲刀剣類所持等取締法違反の嫌疑で警察署に任意同行され取調べを受けた被告人を、取調べ終了後、強制採尿令状を執行するまで身柄を確保する目的で、身柄引受人が来なければ帰ることができない旨虚偽の説明をし、その旨誤信させて、令状執行まで3時間余り警察署に留め置いたことが違法とされた事例
2 覚せい剤の自己使用の事案について、強制採尿令状に基づいて採取された尿の鑑定書の証拠能力が、それに先立つ違法な留め置きを利用してされたことを理由に否定され、無罪の言渡しがされた事例

(横浜地判令1・11・20)

▽放火した犯人は在宅していた被告人と妻(火災で死亡)のいずれかであるが、被告人が出火に近接した時間帯に家屋から出た後、妻が精神疾患等の影響の下で放火した可能性があるとした原判決について、着火終了時刻の推定及び妻の放火の可能性の認定はいずれも不合理であるとして破棄された事案の差戻審

(さいたま地判令1・10・31)

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