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判例時報 No.2444
             2020年7月21日 号 定価:850円 (本体価格:773円+10%税)

科学と裁判(3)
 疫学と損害賠償訴訟における因果関係の証明
 ──大気汚染公害訴訟を中心に──……吉村良一
 
現代型取引をめぐる裁判例(454)……升田 純
 
■判決録
<民事> 6件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

科学と裁判(3)
 疫学と損害賠償訴訟における因果関係の証明
 ──大気汚染公害訴訟を中心に─……吉村良一

現代型取引をめぐる裁判例(454)……升田 純

◆判決録細目◆

民 事

▽担保不動産競売手続において土地建物が一括競売され法定地上権が成立することを前提に建物共有者に交付された剰余金の一部について、実体法上の土地利用権が使用借権であることを理由として土地所有者兼建物共有者からの前記建物共有者に対する不当利得返還請求が認められた事例

(横浜地判令1・10・30)

○国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、父である相手方が、母である抗告人に対して、子をその常居所地国であるブラジルに返還するよう求めた事案において、同国が子の常居所地国であると認めた上で、同法28条1項3号(子の連れ去りの同意又は承諾)、同項4号(重大な危険)等の返還拒否事由があるとは認められないことから、子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例

(東京高決平31・3・27〈参考原審:東京家決平31・2・4掲載〉)

○自動車保険契約における酒気帯び免責条項による免責の可否(積極)

(大阪高判令1・5・30〈参考原審:神戸地判平30・12・19掲載〉)

▽近視矯正等を目的として、レーシック手術又はレーゼック手術を受けた患者らが、それぞれ受けた施術によってコントラスト感度が低下したことについて、当時の屈折矯正手術ガイドラインを検討し、屈折矯正量を超える不適切なものであったといえず、適切なインフォームド・コンセントがなかったとか、術後に発生する合併症等についての適切な術前説明がなかったともいえないとして、施術にあたった医師らの責任が否定された事例

(東京地判平31・3・28)

▽1 公立女子大学が男性であることを理由に入学願書を不受理としたことは憲法14条に違反する等と主張して訴訟を提起した男性に関する週刊誌の記事について、読者は同記事の意見を主観的なものと受け取るにすぎないとして社会的評価の低下を否定し、名誉毀損の成立を認めなかった事例
2 名誉感情侵害(侮辱)において、一般の読者を基準とした同定可能性は不法行為成立の要件ではなく、社会通念上許容される限度を超える侮辱行為か否かの考慮要素にすぎないとした上で、前記記事の意見は社会通念上許容される限度を超える侮辱行為に当たるとして名誉感情侵害の成立を認めた事例

(福岡地判令1・9・26)

▽国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、父である申立人が、母である相手方に対して、3人の子らをその常居所地国であるスペインに返還するよう求めた事案において、子の返還申立ては、相手方による子らの留置の開始から1年を経過した後にされたものであり、子らはいずれも日本での生活に適応していると認められるから、同法28条1項1号(新たな環境への適応)の返還拒否事由があるとして申立てを却下した事例

(東京家決平30・12・11)

労 働

○1 期間の定めのない雇用契約が定年により終了した場合であっても、労働者からの申込みがあれば、それに応じて有期再雇用契約を締結することが就業規則等で明定され、又は確立した慣行となっていて、かつ、その場合の契約内容が特定されている場合には、労働者において雇用契約の定年による終了後も再雇用契約により雇用が継続されるものと期待することには合理的な理由があるとして、使用者が有期再雇用契約を締結しない行為が権利濫用に該当し、労働契約法19条、解雇権濫用法理の趣旨ないし信義則に照らして、雇用契約が成立するとみる余地はあるものの、本件においては、前記の慣行等があったとまでは認め難く、また、成立するとみなされる契約内容が特定できないとして、雇用契約の成立を否定した事例
2 従業員らから残業代の支払を求めるために別件訴訟を提起されたことを主要な動機として行われた再雇用契約締結の拒否、又は更新拒絶(雇止め)、及びそれと相前後する一連の働きかけは、裁判を受ける権利に対する違法な侵害行為であるというべきであるとして、会社の、前記従業員ら及び同人らが所属する労働組合に対する不法行為を認めた事例

(東京高判平31・2・13〈参考原審:東京地判平30・6・14掲載〉)

刑 事

○少年が、仮眠中の交際相手の女性に対し、首をつかんで無理やり起こし、あごを手でつかむ暴行を加えたという暴行保護事件において、少年の要保護性が極めて高いことから、比較的軽微な事案であることを考慮しても少年院への収容が必要不可欠であるとして第1種少年院送致とした原決定を是認し、抗告を棄却した事例

(東京高決令1・7・29〈参考原審:東京家決令1掲載〉)

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