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判例時報 No.2424〔判例評論 No.731〕
             2020年1月1日 号 定価:1470円 (本体価格:1336円+10%税)

<最新判例批評>
 御幸 聖樹  大林 啓吾  樫見由美子  渡辺 徹也
 板垣 勝彦  平野 裕之  山口 直也
 
岐路に立つ裁判官(20)
 今市事件控訴審判決への5つの疑問……木谷 明
 
刑法判例と実務
 ──第49回 盗品等関与罪の周辺──……小林憲太郎
 
法曹実務のための行政法入門(21)
 ――行政訴訟⑤――義務付け訴訟と差止訴訟……高橋 滋
 
■書評
 山本龍彦 編著 『AIと憲法』
 評者 西口 元
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 5件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

岐路に立つ裁判官(20)
 今市事件控訴審判決への5つの疑問……木谷 明

刑法判例と実務
 ──第49回 盗品等関与罪の周辺──……小林憲太郎

法曹実務のための行政法入門(21)
 ―─行政訴訟⑤―─義務付け訴訟と差止訴訟……高橋 滋

◆書 評◆

山本龍彦 編著 『AIと憲法』(日本経済新聞出版社、2018年)
評者……西口 元

◆判決録細目◆

行 政

▽原子力発電所事故当時発電所長の地位にあった者から事故当時の事情を聴取した調書中の個人識別記述等を不開示とした部分開示決定の一部取消しを求めた事案において、取消しを求める対象とされた情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成26年法律第67号による改正前のもの)5条1号ただし書イの公領域情報又は同ロの生命等保護情報に該当しないとして、請求が棄却された事例

(東京地判平30・3・28)

▽1 滞納処分(差押処分)が超過差押えに該当し違法であるとして、一部取り消された事例
2 滞納処分(差押処分)につき、国家賠償法1条1項の違法性がないとされた事例

(奈良地判平31・2・21)

民 事

◎団地管理組合法人が一括して契約を締結するなどして団地建物所有者等が電力の供給を受ける方式への変更をするために、団地建物所有者等に対してその専有部分において使用する電力につき個別に締結されている供給契約の解約申入れを義務付ける旨の集会決議がされた場合において、団地建物所有者が前記解約申入れをしないことが他の団地建物所有者に対する不法行為を構成しないとされた事例

(最三判平31・3・5)

○懲戒解雇無効確認等請求事件で会社の申請した従業員に対する証人調べにおいて、被解雇者の訴訟代理人弁護士のした反対尋問における発言が当該証人の名誉を毀損すると認めた事例

(東京高判平30・10・18〈参考原審:甲府地判平30・5・15掲載〉)

▽18歳前後の遊び仲間の少年4人のうちの1人が、他の3人の悪ふざけで琵琶湖のヨットハーバーの突堤から湖水に突き落とされて溺死した事件について、前記3人の共同不法行為責任を認めたが、同人らの親権者らには、少年らが危険な遊びをすることの具体的予見可能性がなく、監督義務違反の不法行為が成立しないとした事例

(大津地判平31・3・14)

▽1 意思能力を欠く常況にある区分所有者に対してされた通知をもって、建物の区分所有等に関する法律59条2項の準用する同法58条3項に基づく弁明の機会が付与されたということはできないとした事例
2 前記弁明の機会を付与することなく、同法59条1項に基づいて競売の請求の訴え提起を議決した集会決議には瑕疵があるが、当該訴え提起後に前記区分所有者のために選任された特別代理人に対して弁明の機会が付与され、集会決議において当該訴えに係る訴訟手続を継続する旨の決議がされれば、その瑕疵は治癒されるとした事例

(札幌地判平31・1・22)

▽交通事故の加害者が契約している自動車保険の保険会社が被害者に金員を支払ったが、本来保険給付の対象でなかった場合、保険会社は、金員を受け取った被害者に対し、不当利得として金員の返還を請求することはできないとした事例

(高松地丸亀支判平30・12・19)

知的財産権

○「envie CHAMPAGNE GRAY」の欧文字と「アンヴィ シャンパングレイ」の片仮名を上下二段に書してなる商標を指定商品「眼鏡」等に使用することは、国際信義に反するものとして、前記商標が商標法4条1項7号に該当するとされた事例

(知財高判平31・2・6)

労 働

◎使用者と労働組合との間の合意により当該労働組合に所属する労働者の未払賃金に係る債権が放棄されたということはできないとされた事例
(最一判平31・4・25)

刑 事

○マンション居住者がマンション各階に設けられたゴミステーションに出したごみ袋を、警察官が、マンション管理会社や清掃会社の担当者の協力を得て領置し、内容物の確認をしたことが適法とされた事例

(東京高判平30・9・5〈参考原審:東京地判平30・2・23掲載〉)

判例評論

56 地方議会における議員報酬減額を伴う出席停止処分について、同処分に対する取消訴訟と同処分の違法性を前提とする減額された議員報酬等の請求を求める訴訟の両方を司法審査の対象とした事例

(仙台高判平30・8・29)……御幸聖樹

57 裁判官が特定の裁判について原告の訴訟提起を揶揄するかのような内容をツイッターに投稿した行為が裁判所法49条の「品位を辱める行状」に当たるとされた事例

(最大決平30・10・17)……大林啓吾

58 1 被害者の行使する自賠法16条1項に基づく請求権の額と労働者災害補償保険法12条の4第1項により国に移転して行使される上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合に、被害者は国に優先して損害賠償額の支払を受けられるか

 2 自賠法16条の9第1項にいう「当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間」の意義及びその判断方法
(最一判平30・9・27)……樫見由美子

59 固定資産課税台帳に登録された土地の価格について、当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に前記街路が同号所定の道路に該当することを前提とする前記価格の決定は適法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例

(最三判平30・7・17)渡辺徹也

60 勤労収入についての適正な届出をせずに不正に保護を受けた者に対する生活保護法78条に基づく費用徴収額決定に係る徴収額の算定に当たり基礎控除の額に相当する額を控除しないことの適否(最三判平30・12・18)……板垣勝彦

61 NHKの受信料債権への民法168条1項前段の適用の有無

(最三判平30・7・17)……平野裕之

62 刑務所内の監視カメラの付いた単独室(いわゆるカメラ室)へ漫然と収容を継続したことについて国家賠償法上の違法があるとされた事例

(熊本地判平30・5・23)……山口直也

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