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判例時報 No.2407
             2019年7月21日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

現代型取引をめぐる裁判例(444)……升田 純
 
■書評
 伊丹俊彦=合田悦三編集代表
 『逐条 実務刑事訴訟法』
 評者 中山隆夫
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 4件
<知的財産権> 2件
<労働> 1件
<刑事> 2件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例(444)……升田 純

◆書 評◆

伊丹俊彦=合田悦三編集代表
『逐条 実務刑事訴訟法』(株式会社立花書房、二〇一八年)
評者……中山隆夫

◆判決録細目◆

行 政

◎一 普通地方公共団体の財産の譲渡又は貸付けが適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決をもって地方自治法二三七条二項の議会の議決があったといえる場合
二 普通地方公共団体の財産である土地の譲渡が適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決をもって地方自治法二三七条二項の議会の議決があったとされた事例
(最三判平30・11・6)

民 事

○統治権に基づく権力的行為としての公務員の行為であって国家賠償法施行(昭和二二年一〇月二七日)の前に行われたものに基づく損害については、国は賠償責任を負わないとした事例

(東京高判平30・10・24〈参考原審:東京地判平28・6・30掲載〉)

○一 婚姻費用分担額の算定において、義務者の特有財産から生ずる法定果実(賃料、配当等)について収入認定した事例
二 年金収入を給与収入に換算するに当たり、職業費(二〇%)がかからないことを考慮し、年金額を〇・八で除する方法が採用された事例

(大阪高決平30・7・12〈参考原審:神戸家伊丹支審平30・3・23掲載〉)

▽一 強制わいせつ及び強姦の罪により有罪判決を受けたものの、再審において無罪判決を受けた者及びその妻が、警察官の捜査、検察官による公訴提起、公判維持行為及び勾留の継続並びに裁判官による判決行為がいずれも違法であるとして求めた国家賠償請求が棄却された事例
二 右の再審請求審において、裁判所から証拠一覧表を交付するように命じられたにもかかわらず、これを拒否した検察官の行為が違法であるとして求めた国家賠償請求が棄却された事例

(大阪地判平31・1・8)

▽自動車の運転者に視野に関する障害があり、自己が注目している部分の周辺以外はほとんど見えておらず、自らの病状が自動車の運転が困難であるほどのものであると認識していた場合において、運転者に重過失を認めた事例

(旭川地判平30・11・29)

知的財産権

▽居酒屋の店舗外観が、不正競争防止法二条一項一号の「商品等表示」に該当しないとされた事例

(名古屋地判平30・9・13)

▽一 品種登録が種苗法四九条一項一号所定の要件に違反してなされ、取り消されるべきことが明らかであるときは、当該品種登録に係る育成者権の行使は、権利の濫用に当たり許されないとされた事例
二 品種登録に対する異議申立てに係る決定が確定したときは、育成者権侵害訴訟において、当該異議申立ての当事者が、当該異議申立てと同一の事実及び証拠に基づく登録無効・取消事由を主張して権利濫用の主張をすることは、紛争の蒸し返しとして許されないとされた事例
三 登録品種に後発的取消事由が生じ、当該品種登録が取り消されるべきことが侵害訴訟において明らかになったときは、当該品種登録の取消し前であっても、後発的取消事由の発生が明らかに認められる時点以後の当該品種登録に係る育成者権の行使は、権利の濫用に当たり許されないとされた事例
四 育成者権者から正規に入手した登録品種の種苗を無許諾で増殖することにより得た種苗を使用した製品を販売した行為が育成者権を侵害するとされた事例

(大阪地判平30・6・21)

労 働

▽年功序列型から成果主義型への就業規則の変更について、新制度において従業員が最低評価を受けた場合に非常に大きな不利益を受けることからすれば、最低評価の基準の明確性を欠き、最低評価の一次評価と二次評価とが同一の者による場合があるにもかかわらず、その場合についても修正の可能性を担保する制度や措置を設けなかった点については、就業規則の変更について労働組合の同意があるなどのその他の変更に係る事情を考慮しても、著しく合理性を欠くものといわざるを得ず、少なくとも一次評価と二次評価を同一の者が行う場合の最低評価に係る部分について、違法であるとした事例

(名古屋地岡崎支判平30・4・27)

刑 事

◎不正競争防止法(平成二七年法律第五四号による改正前のもの)二一条一項三号にいう「不正の利益を得る目的」があるとされた事例

(最二決平30・12・3)

〇詐取されたキャッシュカードを受け取って複数回にわたりATMから現金を窃取した被告人に対し、関与初期のキャッシュカードの詐取につき詐欺の故意及び共謀を認めず、その五か月後の同様の詐欺については共謀共同正犯を認めた事例

(高松高判平30・3・1〈参考原審:徳島地判平29・10・13掲載〉)

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