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判例時報 No.2389〔評論 No.720〕
             平成31年2月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 林 晃大 奥田正昭 坂本達也 伊藤一頼
 
岐路に立つ裁判官(18)
 今市事件控訴審判決へのいくつかの疑問……門野 博
 
虚偽自白がどのようなものかを知らずに虚偽自白を
 見抜くことはできるのか……浜田寿美男
 
刑法判例と実務
 ──第三八回 図利(営利)目的および利用処分
    意思の周辺──……小林憲太郎
 
■書評
 浜田寿美男 著 『虚偽自白を読み解く』
 評者 福崎伸一郎
 
■判例特報
 今市事件控訴審判決(東京高判平30・8・3)
 日野町第二次再審請求事件 再審開始決定(大津地決平30・7・11)
 
■判決録
<民事> 1件
<労働> 1件
 
◆最高裁判例要旨(平成三〇年九月分)


◆記 事◆

岐路に立つ裁判官(18)
 今市事件控訴審判決へのいくつかの疑問……門野 博

虚偽自白がどのようなものかを知らずに虚偽自白を見抜くことはできるのか……浜田寿美男

刑法判例と実務
 ──第三八回 図利(営利)目的および利用処分意思の周辺──……小林憲太郎

◆判例特報◆

 一 犯人性が争われた事案において、間接事実と被告人作成の謝罪の手紙により被告人を殺人の犯人と認め、かつ被告人の自白のうち殺害を自認した部分の信用性を認めたが、それを超えて殺人の経過・態様・場所・時間等に関する部分の自白は信用できないとして、殺人について概括的な認定をした事例
二 余罪の起訴後に行われた殺人の取調べを違法としたが、殺人の逮捕勾留後に作成された自白調書の証拠能力は否定されないとした事例
三 取調べの録音録画媒体を自白の信用性の補助証拠として取り調べた原審の訴訟手続を違法とした事例
──今市事件控訴審判決(東京高判平30・8・3)

 一 強盗殺人事件の第一審判決(無期懲役)が確定し、服役中に病死した元受刑者の妻子を請求人とする再審請求に対し、再審開始を認めた事例
二 新証拠である金庫投棄場所への引当捜査に係るネガの分析報告書や鑑定書等によって、捜査段階の自白の信用性が否定され、かつ、供述の任意性にも合理的疑いが生じた上、右引当捜査の結果等の重要な間接事実につき認定自体が動揺しあるいは犯人性の推認力が大きく減殺された結果、新証拠が確定審の審理中に提出されていたならば、有罪と認定するには合理的疑いが生じたとして、再審開始を認めた事例
──日野町第二次再審請求事件再審開始決定(大津地決平30・7・11)

◆判決録細目◆

民 事

○不動産売買に当たり、売主についての誤った本人確認情報を提供したことについて、弁護士である資格者代理人の不法行為責任が否定された事例

(東京高判平29・6・28〈参考原審:東京地判平28・11・29本誌2343号78頁掲載〉)

労 働

◎一 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることと労働契約法二〇条にいう「その他の事情」
二 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法二〇条にいう不合理と認められるものに当たるか否かについての判断の方法
三 無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で定年退職後に再雇用された有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違が、労働契約法二〇条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例

(最二判平30・6・1)

判例評論

四九 大阪府工業用水道事業供給条例(昭和三七年三月二九日大阪府条例第四号)二三条、同条例施行規程(昭和三七年三月三〇日大阪府営水道企業管理規程第一号)二一条の規定により工業用水道の使用を廃止した者が納付しなければならないとされる負担金が、地方自治法二二四条、二二八条一項にいう「分担金」に該当しないとされた事例

(最一判平29・9・14)……林 晃大

五〇 訴訟費用のうち一定割合を受救助者の負担とし、その余を相手方当事者の負担とする旨の裁判が確定した後、訴訟費用の負担の額を定める処分を求める申立てがされる前に、裁判所が受救助者に猶予した費用につき当該相手方当事者に対して民訴法八五条前段の費用の取立てをすることができる額を定める場合において、その額につき、受救助者に猶予した費用に右裁判で定められた当該相手方当事者の負担割合を乗じた額とすべきものとした原審の判断に違法があるとされた事例

(最三決平29・9・5)……奥田正昭

五一 株式譲渡契約上の価格調整条項に基づく譲渡価格の減額と表明保証違反に基づく売主の損害賠償責任

(東京地判平28・6・3)……坂本達也

五二 利益相反に関する仲裁人の開示義務違反と仲裁判断の取消し

(最三決平29・12・12)……伊藤一頼

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