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判例時報 No.2222
             平成26年7月21日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

■判例特報
国道二号線事件控訴審判決
 (広島高判平26・1・29)
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例 (352)……升田 純

◆判例特報◆

 一 道路公害を理由とするバイパス道路の延伸工事差止め、道路供用差止め及び国家賠償法二条一項に基づく慰謝料の各請求に対し、工事差止め及び道路供用差止めの各請求は認めず、損害賠償請求のうち、控訴審口頭弁論終結日の翌日以降の将来の損害賠償請求についての訴えは却下し、その余の損害賠償請求について一部認められた事例
二 道路沿道の居住者の外、営業者及び勤務者についても、被害と本件道路から受ける利益との間には彼此相補の関係は認められないとして、慰謝料の請求が認められた事例
三 道路騒音について、昼間屋外値Leq六五dB、夜間屋内値Leq四〇dBを上回る場合、受忍限度を超える被害が生じているとされた事例

――国道二号線事件控訴審判決(広島高判平26・1・29)

◆判決録細目◆

行 政

○市長個人に対して損害賠償請求することを命じた住民訴訟の判決が確定したことから、地方自治法二四二条の三第二項に基づき提起された損害賠償請求訴訟(いわゆる第二段目訴訟)において、市長から専決を委ねられた職員に財務会計法規上の義務違反はなく、市長にも指揮監督上の義務違反はないとして、損害賠償請求が棄却された事例

(東京高判平26・2・26)

民 事

◎一 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか
二 共同相続された個人向け国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか

(最三判平26・2・25)

〇血栓溶解療法を受けた患者に重篤な後遺障害が残った場合、担当医師に療法選択上の注意義務違反、説明義務違反、手技上の過失がないとされた事例

(広島高岡山支判平25・12・26)

▽警察官経験者の経営する会社が、恐喝行為に対する対抗手段をとる対価として顧問料等の報酬を得る目的で恐喝被害者との間で締結した顧問契約について、恐喝被害事件について警察に被害届を作成提出し捜査を促す活動をするため、証拠品を預かって被害届を起案し、被害届の提出やその後の取調べに同行するなどして被害者に助力することが、法律事件に関して法律事務を取り扱うことにあたるとして、弁護士法七二条に違反し民法九〇条により無効とされた事例

(東京地判平25・8・26)

▽有料老人ホームにおいて入居者に褥瘡が生じた場合につき、ホームの運営者の注意義務違反が否定された事例

(東京地判平26・2・3)

▽出産後母子同室の制度をとる国立病院で、助産師等が新生児に対する経過観察義務を怠ったため新生児が低酸素性虚血性脳症になったとして、国立病院側の損害賠償責任が認められた事例

(福岡地判平26・3・25)

▽交通事故から二〇年以上経過して訴えを提起されても、症状固定認定手続から訴えの提起までの経過は、損害賠償請求権を行使する一連一体の行為と捉え、民法七二四条後段の適用はないとされた事例

(水戸地下妻支判平25・10・11)

知的財産権

○「パールフィルター」「PEARL FILTER」の商標が「パール」と「PEARL」を二段にしてなる登録商標と社会通念上同一と認められる商標には当たらないとされた事例――パールフィルター事件知的財産高裁判決

(知的財産高判平25・12・25)

▽高層ビルを中心にした複合商業施設に所在する緑地、散策路などで構成された庭園内に「希望の壁」と称する工作物を設置することが、庭園の著作者の同一性保持権を侵害するとした当該工作物の設置工事続行禁止仮処分申立てが却下された事例

(大阪地決平25・9・6)

商 事

○差戻し審において、最高裁判決の示した基準に従い、有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式を取引所市場において取得した投資者が当該虚偽記載がなければこれを取得しなかった場合における、右投資者に生じた当該虚偽記載と相当因果関係のある損害の額が認定された事例――西武鉄道株主集団訴訟差戻控訴審判決

(東京高判平26・1・30)

労 働

〇市の常勤的非常勤職員の退職手当の支給請求が認容された事例

(福岡高判平25・12・12)

刑 事

▽公判手続停止から約一七年間訴訟能力が回復しなかった被告人に対し、公訴提起後に重要な訴訟条件を欠き、後発的に公訴提起が無効になったものとして、公訴棄却判決が言い渡された事例

(名古屋地岡崎支判平26・3・20)

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