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判例時報 No.2212
             平成26年4月11日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

シンポジウム『地域司法とIT裁判所』上……日本裁判官ネットワーク
現代型取引をめぐる裁判例 (345)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

〇会社の債務整理を受任した弁護士において、①受任していない会社代表者の債務整理の受任通知書を発送し、②債権者一覧表、売掛金一覧を含む資産目録の速やかな作成、売掛金の回収、債権者集会の開催など基本的事務をしておらず、③会社所有不動産を任意売却した際の仲介手数料を、自身が監査役を務め二男が代表者である法人に交付したことは、弁護士としての品位を失うべき非行に当たり、所属弁護士会による業務停止二月の懲戒処分を相当とする判断には、裁量権の逸脱又は濫用はないとされた事例

(東京高判平25・9・18)

民 事

○路上バイクの撤去などを求めて警察署を訪れた者に対し、警察官が「頭がおかしい」などと発言したことについて、名誉感情を害したとして不法行為の成立が認められた事例

(東京高判平25・8・23)

○振替制度を利用して国債を購入した者は、国に対して国債の償還を請求することはできないとされた事例

(広島高松江支判平24・11・14)

○病院に勤務する臨床検査技師の自殺について、病院側の安全配慮義務違反の責任が認められた事例

(札幌高判平25・11・21)

▽一 仮名を用いてグリコ森永事件の犯人を報じた週刊誌の連載記事について、名誉毀損による不法行為の成立が認められた事例
二 出版社の従業員が行政書士を通じて取材対象者の住民票等を不正入手した行為について、プライバシー侵害による不法行為の成立を認め、出版社の使用者責任が肯定された事例

(東京地判平25・8・30)

▽町の公共工事(下水道工事)により自己の住宅が傾斜したとして、町に対して求めた国家賠償請求及び右公共工事を施工した業者に対して求めた共同不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例

(札幌地小樽支判平25・10・28)

▽一 PCI(経皮的冠動脈形成術)治療の際、狭窄が九〇%から九九%造影遅延に悪化した冠動脈九番に対し、医師が何らの措置も行わなかったことに、注意義務違反ないし過失はないとされた事例
二 PCI治療後、血液検査によって心筋逸脱酵素や収縮蛋白が高い数値を示していることなどを認識した時点で、医師が再度の冠動脈造影・PCI治療を施さなかったことに、注意義務違反ないし過失はないとされた事例
三 低血圧が八時間近く遷延している患者に対し、医師が補助循環具を使用しなかったことに、注意義務違反ないし過失はないとされた事例
四 急性心筋梗塞を発症した疑いが否定し得ない状態にある患者に対し、医師がノルアドレナリンとボスミンを併用投与したことに、注意義務違反ないし過失はないとされた事例

(横浜地判平25・9・25)

知的財産権

▽いわゆる自炊代行業者に対し、第三者から委託を受けて原告作品が印刷された書籍を電子的方法により複製してはならないとの差止めが認められるとともに、弁護士費用相当額の支払が命じられた事例

(東京地判平25・9・30)

労 働

▽自転車等による書類等の配送事業を展開していた会社との間で運送請負契約等を締結し、その配送を行う配送員(メッセンジャー)が、労働基準法上の労働者に当たるとはいえず、その契約の打切りに解雇権濫用法理の適用があるとはいえず、不当労働行為の成立も否定された事例

(東京地判平25・9・26)

刑 事

○被告人が覚せい剤を自己の身体に注射して使用した事案につき、覚せい剤密売人からけん銃を頭部に突き付けられて覚せい剤の使用を強要されたため、断れば殺されると思い、仕方なく覚せい剤を使用した旨の被告人の供述の信用性は排斥できず、被告人の供述を前提にすると、被告人の覚せい剤使用行為は緊急避難に該当するとして、原審の有罪判決が破棄され、無罪が言い渡された事例

(東京高判平24・12・18)

◆最高裁判例要旨(平成二六年一月分)

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