バックナンバー

判例時報 No.2204
             平成26年1月21日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<行政> 1件
<民事> 7件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

現代型取引をめぐる裁判例(342)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

○一 独占禁止法上の課徴金債権が会社更生法二〇四条一項の規定により免責されるものであるということは、当該課徴金の納付を命じる審決の違法事由たり得ないとされた事例
二 独占禁止法上の課徴金は、会社更生法上、独占禁止法に違反する行為が更生手続開始前にされた場合には、課徴金納付命令が更生手続開始後にされたとしても、更生債権として扱うべきであるとの判断を示し、当該課徴金債権につき更生計画認可の決定によりその責任を免れたとされた事例(傍論)

(東京高判平25・5・17)

民 事

○一 医療機関を開設するY1が、入院中の児童Aについて、両親であるXらはAに対して必要な栄養を与えておらず、必要な治療を受けさせていないとして、児童福祉法二五条の通告等をしたことは、違法とはいえないとされた事例
二 右通告を受けたY2の児童相談所長が、同法三三条に基づき、Aに対してした一時保護決定及び再一時保護決定等は、いずれも違法とはいえないとされた事例
三 Y2の児童相談所職員が右再一時保護中のAに対してアレルギー源を含む食物(卵を含む竹輪。一本の一〇分の一。二・五~三g)を誤って食べさせたこととその後のAの死亡との間に相当因果関係があるとは認められないとして、原判決を取り消し、XらのY2に対する請求が棄却された事例

(東京高判平25・9・26)

○「財産を全てまかせる」旨の遺言について、包括遺贈する趣旨のものであると解された事例

(大阪高判平25・9・5)

▽建物所有を目的とする借地契約につき五〇〇〇万円の立退料の提供による正当事由が認められ、賃貸人の更新拒絶が肯定された事例

(東京地判平25・3・14)

▽一 小規模個人再生手続において住宅資金条項を定めた再生計画の認可がされ、保証会社である原告の住宅資金貸付債権に係る保証債務の履行がなかったとみなされた場合(いわゆる巻戻し)に、保証会社である原告が既に支出した競売費用の請求権が共益債権に当たらないとされた事例
二 右再生手続において、再生債権として届出されなかった原告の債権は、再生計画により権利変更の効力を受けて再生計画に従って分割弁済すれば足りるが、被告がその適用を求めていないとして、再生計画による権利変更後の金額について将来における一括給付が命じられた事例

(大阪地判平25・1・18)

▽東日本大震災の津波に幼稚園児が園の送迎バスとともに巻き込まれ死亡した事故につき、園長に津波に対する情報収集の懈怠があったとして、同園の運営法人及び園長に対する遺族からの損害賠償請求

が認容された事例

(仙台地判平25・9・17)

▽特商法上の業務提供誘引販売取引業者が、県知事より違法な同法五七条による取引停止命令を受けたとして、県に対して求めた国家賠償請求が棄却された事例

(さいたま地判平25・7・10)

▽親と別居している一八歳の大学生の交通事故について、監督者の監督責任が認められなかった事例

(岐阜地判平25・7・19)

知的財産権

▽一 受発注システムプログラムの取得・使用の事実が認められないとして、著作権侵害の成立が否定された事例
二 前勤務先の顧客情報の一部につき、現勤務先における使用の事実を認めたが、その秘密管理性が否定された事例
三 前勤務先の印刷用フィルム等を流用して現勤務先に印刷業務を受注させる行為が自由競争の範囲を超えるとして雇用契約上の債務不履行及び不法行為の成立が認められた事例

(東京地判平24・6・11)

労 働

▽一 郵便事業株式会社において、八回の契約更新を重ね、四年間継続して雇用され、郵便局において正社員と同様の職務を担当していた期間雇用社員(時給制契約社員)の人員削減を理由とする雇止めについて、雇用継続に対する期待には合理性が認められるとして、解雇に関する法理が類推適用され、整理解雇に準じる要件が必要であると判断された事例
二 時給制契約社員の大部分が労働時間の短縮に応じれば、雇止めを回避できる状況にあり、かつ、雇止め対象者の人選の基準として、労働時間の短縮に応じたか否かを最優先の基準とし、応じた者と応じなかった者が分かれた場合には、まず、後者から優先的に雇止めにしていくという一般的方針を採用した場合において、その方針を告知せずにされた雇止めが雇止め回避のための努力を尽くさなかったものとして許されないと判断された事例

(札幌地判平25・7・30)

刑 事

▽重度精神発達遅滞の被告人に対する常習累犯窃盗事件につき、心神喪失と認めて無罪が言い渡された事例

(京都地判平25・8・30)

◆最高裁判例要旨(平成二五年一〇月分)

Copyrightc 株式会社判例時報社 All Rights Reserved.

PAGE TOP