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判例時報 No.2199
             平成25年12月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 箱井崇史 西川佳代 外川英明 松原久利 黒澤 睦 斎藤 司
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 7件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

行 政

○電気事業法施行規則九三条の三の規定による経済産業大臣の定期検査終了証の交付が行政事件訴訟法三条二項の「処分」に当たらないとされた事例

(大阪高判平25・6・28)

民 事

◎債務整理に係る法律事務を受任した弁護士が、特定の債権者の債権につき消滅時効の完成を待つ方針を採る場合において、上記方針に伴う不利益等や他の選択肢を説明すべき委任契約上の義務を負うとされた事例

(最三判平25・4・16)

○太陽光パネルの反射光により建物の所有権の円満な利用が妨げられたとして、建設会社に対して求めた損害賠償請求が、被害が受忍限度を超えるものではないとして棄却された事例

(東京高判平25・3・13)

○甲が乙の故意または過失による虚偽の説明を受け、乙に金銭を交付すれば多額の利益を得られると誤信し、乙の口座を介する方法によって丙に対する投資をしようと考え、乙に対し送金したものであるときは、甲は乙に対し乙の不法行為を理由としてそれによって被った損害の賠償を求めることができるとされた事例

(福岡高判平24・10・18)

▽遺体保管所の営業に対する近隣住民の反対運動が不法行為を構成しないと判断された事例

(東京地判平25・4・25)

▽自転車運転中の男性が防護柵のない用水路に転落し死亡した事故につき、右用水路に防護柵を設置しなかったとして県と市の損害賠償責任が認められた事例

(福岡地判平25・4・10)

▽一 一六歳の少年が、風俗営業店(いわゆるキャバクラ)で大人びた態度で平然と飲酒遊興した場合であっても、民法二一条にいう「詐術を用いたとき」に当たらないとして、民法五条二項に基づく取消しが認められ、かつ、その一部については、健全な風俗を阻害するか、または、少年の思慮不足に乗じた暴利行為に該当するとし、未成年者と風俗営業店のキャバクラ接客契約それ自体が公序良俗に反し無効であるとされた事例
二 一六歳の少年が父親のクレジットカードを窃取した上、これを使用して風俗営業店で飲酒遊興代金を決済した場合、信販会社の父親に対する利用代金の支払請求の一部が権利の濫用に当たるとされた事例

(京都地判平25・5・23)

▽町立中学校の生徒が部活動での柔道の練習中に顧問の過失により受傷し死亡した事故につき、遺族の町に対する国家賠償請求が認容された事例

(大津地判平25・5・14)

知的財産権

▽一 古仏画又は曼荼羅の復原画一〇点のうち九点につき著作物性を否定し、うち一点につき著作物性を認めたが、被告作品は、右復原画を複製又は翻案したものに当たらないとされた事例
二 自作仏画の著作物性を認め、被告作成の仏画一八点のうち六点は、右自作仏画を翻案したものに当たるとして、被告仏画六点の販売、展示等の差止め、同仏画を掲載した書籍等の制作の差止め、書籍からの同仏画の抹消、同仏画を掲載したパンフレットの廃棄及び損害賠償が認められた事例

(東京地判平24・12・26)

労 働

▽従業員の心臓性突然死につき、会社に当該従業員に対する過重な労働による安全配慮義務違反があるとして、会社の損害賠償責任が認められた事例

(神戸地判平25・3・13)

刑 事

○一 ストーカー行為等の規制等に関する法律二条一項一号の「見張り」をする行為に該当するとされた事例
二 ストーカー行為等の規制等に関する法律二条一項一号の「押し掛ける」行為に該当するとされた事例

(東京高判平24・1・18)

◆最高裁判例要旨(平成二五年九月分)

判例評論

七四 一 国際海上運送をする船舶が公海を航行中に積載貨物(危険物)を原因とする事故が発生し当該船舶及び他の運送品に損害が生じた場合における当該危険物の荷送人の不法行為責任の準拠法

 二 国際海上運送をする船舶に積載された危険物が船倉内で化学反応を起こして高熱を発し当該船舶及び他の運送品に損害が発生した場合において、当該危険物の荷送人の損害賠償責任につき失火責任法の適用がないとされた事例
 三 国際海上運送をする船舶に積載された貨物が船倉内で化学反応を起こして高熱を発し当該船舶及び他の運送品に損害が生じた場合において、当該貨物につき法令で定められた危険物である旨の分類表示を怠った荷送人の不法行為責任が認められた事例
(東京高判平25・2・28)……箱井崇史

七五 自動車の仮差押えをした債権者は本執行として当該自動車の強制競売を申し立てるに当たって当該自動車を仮差押え後に占有している第三者に対し、執行官に引き渡す旨の命令を申し立てることができるか(積極)

(大阪高決平22・6・22)……西川佳代

七六 標準文字「あずきバー」からなる商標が指定商品「あずきを加味してなる菓子」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認められた事例

(知的財産高判平25・1・24)

七七 適法用途にも著作権侵害用途にも利用できるファイル共有ソフトWinnyをインターネットを通じて不特定多数の者に公開、提供し、正犯者がこれを利用して著作物の公衆送信権を侵害することを幇助したとして、著作権法違反幇助に問われた事案につき、幇助犯の故意が欠けるとされた事例

(最三決平23・12・19)……松原久利

七八 一 訴訟条件である告発の事実を上告審において認定する方法

 二 訴訟条件である告発の調査を怠った一、二審の法令違反と上告審において告発の事実を認定することができる場合の判決への影響の有無
(最二決平23・10・26)……黒澤 睦

七九 被害者の証人尋問において、捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可し、証人に示した写真を証人尋問調書に添付した裁判所の措置に違法がないとされた事例

(最一決平23・9・14)……斎藤 司

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