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判例時報 No.2184
             平成25年7月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 大田直史 山野嘉朗 徳田和幸 松井智予 土田道夫
 
■判例特報
 平成二四年衆議院議員総選挙定数訴訟(東京都第一区)第一審判決
  (東京高判平25・3・6)
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 5件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆判例特報◆

 平成二四年一二月に実施された衆議院議員総選挙の小選挙区東京都第一区における選挙は違法であるが、選挙は有効とされた事例

――平成二四年衆議院議員総選挙定数訴訟(東京都第一区)第一審判決(東京高判平25・3・6)

◆判決録細目◆

行 政

○一 公安審査委員会は、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)の趣旨・目的及び文理解釈から、観察処分の期間更新決定に当たり、派生的・付随的な処分として被処分団体に対し新たな報告義務を課すことができる
二 団体規制法の観察処分の期間更新決定に当たり報告義務につき新たな報告事項を追加する旨の処分を取り消した一審判決が、控訴審において取り消された事例

(東京高判平25・1・16)

▽と畜場法一四条に規定する「獣畜のとさつ又は解体の検査」の仮の義務付けが認められた事例

(東京地決平24・10・23)

民 事

◎土地区画整理事業の施行地区内の土地を購入した買主が売買後に土地区画整理組合から賦課金を課された場合において、上記売買の当時、買主が賦課金を課される可能性が存在していたことをもって、上記土地に民法五七〇条にいう瑕疵があるとはいえないとされた事例

(最二判平25・3・22)

◎ゴルフ場経営を目的とする地上権設定契約及び土地賃貸借契約につき借地借家法一一条の類推適用をする余地はないとされた事例

(最三判平25・1・22)

○傷害事件で無罪が確定した男性が逮捕時の新聞社の記事で名誉を傷つけられたとして同社に対し求めた損害賠償について、記事が公共の利害に関し専ら公共の利害を図る目的に出たもので記事の重要な部分が真実であると証明されたときは違法性が阻却され不法行為は成立しないとして、請求が棄却された事例

(大阪高判平24・9・20)

▽耐震性に問題のある賃貸建物を取り壊し、分譲マンションを建築すること等を理由とする借家契約の解約申入れについて、立退料の提供を条件とする正当事由が肯定された事例

(東京地判平25・1・25)

▽酒類小売業者の団体の事務局長が外国法人発行に係る単一の仕組み債に年金資産の大半を投資した行為について、同事務局長、同団体、同団体の専務理事及び同仕組み債の紹介者が、同団体が運営する私的年金制度の加入者らに対して損害賠償責任を負うとされた事例

(大阪地判平23・7・25)

知的財産権

○一 商標法四条一項六号の適用を受ける標章は「著名なもの」に限られると解すべきであり、告示されたことのみを理由として「著名なもの」とすることはできない
二 商標法四条一項六号の「著名」とは、指定商品・役務に係る一商圏以上の範囲の取引者、需要者に広く認識されていることを要する
三 本願商標と日南市章を全体として対比すると、本願商標の図形部分と日南市章は外観において類似するものの、当該図形部分は「日」という漢字の古代書体に由来するありふれた図形であって出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず、本願商標が「ダイワ」の称呼を生じ、「ダイワ」ないし「大和」の企業名としての観念を生じるから、全体として類似するとはいえないとされた事例

(知的財産高判平24・10・30)

○本願商標は、引用商標とは外観において著しく異なり、観念及び称呼において共通する部分があるものの、引用商標の構成及び取引の実情等を考慮するならば、類似するとは認められず、商標法四条一項一一号に該当しないとされた事例

(知的財産高判平24・7・12)

商 事

◎株式会社を設立する新設分割と詐害行為取消権

(最二判平24・10・12)

刑 事

◎裁判員の参加する刑事裁判に関する法律三五条一項の異議の申立てと裁判員等選任手続の停止

(最一決平25・3・15)

◆最高裁判例要旨(平成二五年四月分)

判例批評

四三 滋賀県選挙管理委員会の委員長以外の委員について月額報酬を定める滋賀県特別職の給与等に関する条例(昭和二八年滋賀県条例第一〇号。平成二三年滋賀県条例第一七号による改正前のもの)の規定と地方自治法二〇三条の二第二項

(最一判平23・12・15)……大田直史

四四 自動車損害賠償保障法一五条所定の保険金の支払を請求する訴訟において裁判所が同法一六条の三第一項が規定する支払基準によることなく保険金の額を算定して支払を命じることの可否

(最一判平24・10・11)……山野嘉朗

四五 民法二五八条二項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売と民事執行法五九条及び六三条の準用の有無

(最三決平24・2・7)……徳田和幸

四六 新株予約権の発行後にその行使条件を変更する取締役会決議(旧商法二八〇条の二一第一項の委任に基づく)の効力と、変更後の条件での新株発行の有効性

(最三判平24・4・24)……松井智予

四七 特定労働組合に所属する組合員を運転士に発令しなかったことと不当労働行為の成否
――JR東日本(千葉動労不登用)事件

(最一判平24・2・23)……土田道夫

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