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判例時報 No.2137
             平成24年3月11日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判決録
<行政> 1件
<民事> 8件
<知的財産権> 2件


◆記 事◆

行政訴訟における訴訟要件に関する発想の転換……阿部泰隆
現代型取引をめぐる裁判例 (297)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

○県の収用委員会等の各委員、非常勤の監査委員の報酬について、地方自治法二〇三条の二第二項ただし書きにより条例で特別の定めをする場合には、月額制の採用及び報酬額は議会の裁量に委ねられ、議会に裁量権の逸脱・濫用があるときには、条例の定めが違法・無効になることがあるが、当該条例の定めには裁量権の逸脱・濫用はないとされた事例

(東京高判平23・10・12)

民 事

◎貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合における、借主と上記債権を譲渡した業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位の移転及び上記取引に係る過払金返還債務の承継の有無(①・②事件)

(①最一判平23・7・7、②最二判平23・7・8)

○貸金業者と消費貸借取引をした債務者が、平成一五年に、弁護士を代理人として、貸金業者との間で、残債務の存在を確認してその一割を弁済して清算する旨の裁判外の和解契約をした場合において、和解契約が公序良俗違反により無効となることはなく、みなし弁済の規定の適用の有無を含めて貸金債権や不当利得返還請求権の有無及び金額に関する争いをやめることを合意したものであるときは、錯誤主張は許されず、事情変更による和解契約の解除も認められないとされた事例

(東京高判平23・9・9)

○強制わいせつ罪で起訴されたが無罪判決が確定した場合、検察官の公訴提起に過失があったとして、国の損害賠償責任が認められた事例

(大阪高判平23・10・26)

▽化学物質過敏症の患者に対する歯科治療につき歯科医師のアレルギーテスト実施に関する注意義務違反が否定された事例

(東京地判平23・4・28)

▽株式譲渡契約における売主の表明保証違反を理由とする補償金支払義務が否定された事例」

(大阪地判平23・7・25)

▽衆議院国土交通委員の議員が、耐震強度が偽装されたマンションについて報じるテレビ番組等において、使用された生コンクリートは納入した会社の製造した粗悪品である等と発言したことにより、会社の信用が毀損されたとする損害賠償請求が認容された事例

(横浜地判平23・11・24)

▽生活保護の被保護者が社会福祉事務所長から生活保護廃止決定を受けたが、この決定は保護廃止の要件を欠く違法なものであるとして、市に対して求めた国家賠償請求が認容された事例

(京都地判平23・11・30)

知的財産権

○一 無効審判請求不成立審決の取消判決の確定後、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合には、当該訂正によっても影響を受けない範囲における認定判断については格別という余地があるとしても、訂正前の特許請求の範囲に基づく発明の要旨を前提にした取消判決の拘束力は遮断され、再度の審決に当然に及ぶということはできない
二 無効審判請求不成立審決の取消判決が対象とした訂正前の発明と引用発明との相違点について、訂正審決により実質的にも形式的にも発明の要旨が変更されているとして、取消判決の拘束力ないしこれに準ずる効力が、再度の審決に及ぶことはないとされた事例

(知的財産高判平23・9・8)

▽発明の名称を「外科医療用チューブ」とする特許権に基づく差止・廃棄請求について、一部認容された事例

(知的財産高判平23・10・19)

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