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判例時報 No.2129
             平成23年12月21日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

 


◆記 事◆

医療ADRの試みと医療訴訟の実務的課題(下)……村松悠史

現代型取引をめぐる裁判例(292) ……升田 純

海外刑法だより(319)

国際汚職の構造(2)…… 森下 忠

◆最高裁判例要旨(平成二三年九月分)

◆判決録細目◆

行 政

◎介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を府知事から受けた事業者が、不正の手段によって当該指定を受けた場合において、市から受領した居宅介護サービス費等につき介護保険法(平成7七年法律第七七号による改正前のもの)二二条三項に基づく返還義務を負わないとされた事例(最一判23 ・7・14)

民 事

◎最高裁平成一七年同第七〇二号同一九年七月六日第二小法廷判決のいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」の意義(最一判23・7・21)

◎一 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定の有無の判断基準
二 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の串立ての適否(最三決23・9・20)

▽一 防衛庁調達実施本部(当時)の発注した石油製品の指名競争入札において、指名業者の受注調整行為が不当な取引制限に該当するとされた事例
二 不当な取引制限に起因して国と落札業者との間に成立した売買契約が公序良俗に反して無効とされた事例
三 石油製品の客観的価格に関する被告らの主張が認められなかった事例(東京地判23・6・27)

▽企業買収として行われた株式の譲渡契約中の経営等に重大な影響を及ぼす可能性のある事実の表明・保証条項の違反が否定された事例(東京地判23・4・19)

▽公立小学校における清掃時間中に生じた小学校四年生同士の衝突事故につき担任教諭の注意義務違反が否定された事例(東京地判23・9・5)

知的財産権

○名称を「ベンゼンスルフオナート化合物」とする発明において、「本願発明の課題を解決する優れた作用効果が奏されていれば、引用発明との相違点に係る構成が容易でない」旨の原告の主張について、奏された効果が当業者に予測可能であるから、原告の主張は採用できないなどと判示して、太願発明は特許を受けることができないとした審決が維持された事例(知的財産高判23・7・27)

○「HORECA」等の複数の文字及び星形図形等の複数の図形から成る本願商標が、「HORECA」の欧文字及び「ホレカ」の片仮名文字から成る引用商標に類似するとした審決が維持された事例(知的財産高判23・7・21)

商 事

▽不成功に帰したMBOの一環として行われた公開買付けの際、対象会社の旧経営陣の不正な行為(利益相反行為)が開示されていれば、被告会社株式を取得することもなかったとして、当時の役員及び被告会社に対し、当該株取得者が取得価格と処分価格の差額相当分の損害賠償を求めることの可否(東京地判23・7・27)

労 働

○一 使用者の労働者に対する解雇が、当該労働者が業務上の疾病としてうつ病にかか

り、その療養のために休業していた期間にされたものであるとして、労基法一九条一項本文に反し、無効であるとされた事例

二 民法五三六条二項に基づく賃金債権の行使について、労働者において労務提供の意思を有していなくても、使用者の責めに帰すべき事由により労働者が労務提供の意思を形成し得な-なった場合には、当然に同条項の適用があると解すべきであると解した上で、業務上の疾病としてうつ病を躍患した労働者について、かかる場合に当たるとして、同賃金債権の行使が認められた事例
三 民法五三六条二項に基づく賃金債権の行使に係る賃金額を算出するに当たり、当該労働者が健康保険法上の傷病手当金等の給付や労災保険法上の休業補償給付等の給付を受けているときでも、これらの受給により賃金額を減額すべきではない

四 労働者に生じたうつ病の発症及びその増悪に関し、その発症及びその増悪のうち一

定時期までの部分について、使用者に不法行為及び雇周契約上の安全配慮義務に違反

する債務不履行が成立するとして、損害賠償が認められた事例(東京高判23・2・23)

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