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判例時報 No.2445〔判例評論 No.737〕
             2020年8月1日 号 定価:本体価格 1336 円+税

<最新判例批評>
 山本 真敬  春日  修  田中 孝男  能登真規子  常岡 史子
 高田  寛  前田 哲男  柳澤  武  丸山 雅夫
 
湖東記念病院再審請求事件を闘って……井戸謙一
 
科学と裁判(4)
 水俣病訴訟に関する科学的知見と最近の裁判例の動向……新美育文
 
刑法判例と実務
 ──第56回 「恐喝罪」の周辺──……小林憲太郎
 
■判例特報
 湖東記念病院再審請求事件無罪判決(大津地判令2・3・31)
 
■判決録
<民事> 4件
<刑事> 1件


◆記 事◆

湖東記念病院再審請求事件を闘って……井戸謙一

科学と裁判(4)
 水俣病訴訟に関する科学的知見と最近の裁判例の動向……新美育文

刑法判例と実務
 ──第56回 「恐喝罪」の周辺──……小林憲太郎

◆判例特報◆

 入院患者に対する殺人により有罪の確定判決を受けた元看護助手の女性につき、新証拠によれば、事件性に疑いが生じたとして再審が開始された事件において、患者の死因を意図的な人工呼吸器の管の抜去による窒息死とする解剖医の判断の信用性に疑いがある一方、患者が他の原因で死亡した具体的可能性があるとして、被告人の自白供述を除いた証拠からは事件性が認められないと判断した上、人工呼吸器の管を抜去して患者を殺害した旨の被告人の自白供述につき、信用性がないのみならず任意性にも疑いがあると判断して被告人を無罪とした事例

──湖東記念病院再審請求事件無罪判決(大津地判令2・3・31)

◆判決録細目◆

民 事

○大学院の学費、留学費用等が特別受益と認められなかった事例

(名古屋高決令1・5・17〈参考原審:名古屋家審平31・1・11掲載〉)

○国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、父である相手方が、母である抗告人に対して、子をその常居所地国であるロシアに返還するよう求めた事案において、原決定後にロシア国内の裁判所が、子の居住地を抗告人の下とし、抗告人が子を連れてロシアから日本へ出国することを許可する決定をしたことにつき、同法28条3項ただし書に基づき、同決定の理由が、子の返還事由の判断に影響しないかを検討した上で、返還拒否事由があるとは認められないことから、子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例

(東京高決平31・2・28〈参考原審:東京家決平30・11・30掲載〉)

○1 「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法」(刑特法)12条2項の定める緊急逮捕類似の手続は、少なくとも米軍により現行犯として身柄を拘束された者の身柄の引渡しに適用される限りにおいては、憲法33条、31条に反して違憲ということはできないとされた事例
2 米軍から米軍施設等内において拘束した者の身柄を引き渡す旨の通知を受けた海上保安官が、①同通知を受けた後、米軍から事情聴取を行い、身柄の引受けに不可欠な事務上の手続に要すると考えられる時間を超えて、身柄の引受けを遅延させたこと、②身柄の引受けを違法に遅延させた上で、同身柄の引受けに当たり刑特法12条2項に定める手続により身柄拘束を継続したことが、それぞれ国家賠償法上違法であるとされた事例

(福岡高那覇支判令1・10・7〈参考原審:那覇地判平31・3・19本誌2428号132頁掲載〉)

▽動産(日本刀)の引渡しを求める訴訟において、当初は日本刀の占有につき自白していた被告が、相当程度訴訟が進んだ段階で占有しているのは日本刀の偽物であるとして自白を撤回したことにつき、自白の撤回が認められ、さらに自白の撤回が時期に後れた攻撃防御方法とはいえないと判断され原告の請求が棄却された事例

(山形地判令1・8・6)

刑 事

▽1 駅改札口で駅員に対して脅迫を行ったとの訴因につき、防犯カメラの映像に照らし、被害者とされる駅員や現場に臨場した警察官の各証言が信用できないとして、現行犯逮捕された被告人が無罪とされた事例
2 被害者とされる駅員の証言が、事件後に実施された被害再現捜査の際の警察官の言動に影響を受け、これに沿うものとなったとして、信用性が否定された事例

(東京地立川支判平30・5・7)

判例評論

15 公選法204条の選挙無効訴訟において満18歳および満19歳の日本国民に衆議院議員総選挙の選挙権を付与する公選法9条1項の違憲を主張することが許されないとされた事例

(最一決平31・2・28)……山本真敬

16 1 個人タクシー事業の経営許可申請に対する却下処分につき、その根拠とされた収支計画要件が道路運送法6条の審査基準とすることができない違法なものであるなどとして、処分を取り消した原判決の判断を維持し、控訴人である国の控訴を棄却した事例

2 前記取消訴訟と併合提起されている事業許可の義務付け訴訟において、行政事件訴訟法37の3第5項が定める本案要件の有無は却下処分時における法令を前提に判断するとした上で、本案要件が認められるとして義務付けを認めた原判決を、却下処分時における法令を前提としても却下処分は本案要件を満たさないとして取り消し、義務付けの訴えに係る請求を棄却した事例
(東京高判平30・5・24)……春日 修

17 神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例に基づいて交付された政務活動費等について、その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても、当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員が不当利得返還義務を負わないとした事例

(最二判平30・11・16)……田中孝男

18 賃貸人が連帯保証人に市営住宅の建物賃貸借契約に基づく未払賃料等を請求した場合に、連帯保証人の一方的意思表示による連帯保証契約の解除を認め、解除以降の未払賃料等の債務負担を否定し、それ以降の支払請求は権利の濫用として許されないとした事例

(横浜地相模原支判平31・1・30)……能登真規子

19 離婚訴訟において原告と第三者との不貞行為を主張して請求棄却を求めている被告が当該第三者を相手方として提起した不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟が、人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に当たるとされた事例

(最三決平31・2・12)……常岡史子

20 ツイッター上におけるいわゆる「なりすましアカウント」作成者の特定のために、経由プロバイダに対して発信者情報の開示を求めた請求が、認められた事例

(東京高判平30・6・13)……高田 寛

21 1 ミキシングを行った者が著作権法2条1項6号所定のレコード製作者には該当しないとされた事例

2 映画の著作物に使用されているレコードにつき、許諾の不存在を合理的に疑わせる特段の事情の存在に基づき、外国映画配給会社に注意義務違反が認められた事例
(大阪地判平30・4・19)……前田哲男

22 休職期間中に行われた試し出勤(テスト出局)の相当性と賃金請求権などが争われ、試し出勤中の労働に対して最低賃金額相当の賃金支払が認められた事例

──日本放送協会事件

(名古屋高判平30・6・26)……柳澤 武

23 1 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の再抗告事件において同法70条1項所定の理由以外の理由により原決定を取り消すことの可否

2 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による入院決定を受けた対象者からの同法による医療の終了の申立て及び指定入院医療機関の管理者からの退院の許可の申立てを棄却した各原々決定及びこれを維持した各原決定に審理不尽の違法があるとされた事例
(最一決平29・12・25)……丸山 雅夫

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