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判例時報 No.2372
平成30年8月11日 号 定価: 830 円(税込)

統治構造において司法権が果たすべき役割(2)
 政官関係と司法についての覚書
 ──公務員制の憲法的再定位……山本龍彦
 
国際刑法の窓(16)
 ──犯罪人引渡しにおける人権基準……森下 忠
 
■書評
 門野博著『白熱・刑事事実認定―冤罪防止のハンドブック』
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 9件
<労働> 1件
<刑事> 4件


◆記 事◆

統治構造において司法権が果たすべき役割(2)
 政官関係と司法についての覚書──公務員制の憲法的再定位……山本龍彦
国際刑法の窓(16)
 ──犯罪人引渡しにおける人権基準……森下 忠

◆書 評◆

門野博著『白熱・刑事事実認定―冤罪防止のハンドブック』
評者……村岡啓一

◆判決録細目◆

行 政

◎一 競馬の当たり馬券の払戻金が所得税法三五条一項にいう雑所得に当たるとされた事例
二 競馬の外れ馬券の購入代金が雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として所得税法三七条一項にいう必要経費に当たるとされた事例

(最二判平29・12・15)

民 事

◎国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき子の返還を命じた終局決定が同法一一七条一項の規定により変更された事例

(最一決平29・12・21)

○元夫が元妻に財産分与を求めた事案において、双方の持分が各二分の一の共有名義の不動産には、双方が連帯債務として借り入れた住宅ローンを被担保債権とする抵当権が設定されているものの、元妻が住宅ローン債権者に対する預金担保として住宅ローン残高とほぼ同額の預金債権を有していることから、預金と債務を併せて評価して各〇円とした上、抵当権が実行される可能性は低いとして、元妻の共有持分を元夫に分与した事例

(東京高決平29・6・30〈参考原審:東京家審平28・3・30掲載〉)

○提訴から一〇か月近く経過した第五回口頭弁論期日において主張された相殺の抗弁につき、時機に後れた攻撃防御方法であるとして却下した原審の判断が違法であるとされた事例

(東京高判平29・4・27〈参考原審:東京地判平27・12・14掲載〉)

○国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、父である相手方が、母である抗告人に対して、子をその常居所地国であるシンガポール共和国に返還するよう求めた事案において、相手方の抗告人に対する暴力について個人保護命令が発令されているものの、その後は相手方が個人保護命令に反する行動をとっていないなど、同法二八条一項四号(重大な危険)の返還拒否事由があるとは認められないことなどから、子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例

(大阪高決平29・9・15〈参考原審:大阪家決平29・6・19掲載〉)

○本人の長女による任意後見監督人選任申立ての直後に、本人が長女との任意後見契約を解除するとともに、長男と任意後見契約を締結したことから、長女が申立ての趣旨を法定後見開始に変更し、長男が新たに任意後見監督人選任を申し立てた事案に関し、長男は任意後見人の適格性を欠くとして、法定後見を開始することにつき「本人の利益のために特に必要がある」と認められることを理由に、後見を開始するとともに任意後見監督人選任申立てを却下した原審判について、原裁判所の判断は相当であるとして長男の抗告申立てを棄却した事例

(福岡高決平29・3・17〈参考原審:福岡家審平28・10・27掲載〉)

▽被告が、インターネット上の原告に対する名誉毀損、侮辱、人種差別等を含む投稿をまとめ、その記事をブログに掲載した行為が不法行為に該当するとして、原告の損害賠償請求を一部認容した事例

(大阪地判平29・11・16)

▽刑事弁護の報酬請求にあたり、依頼者に対する説明義務に違反したとして、弁護士の損害賠償責任が認められた事例

(大阪地判平29・9・20)

▽配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律八条の二の援助申出の相当性の判断は警察署長等の合理的な裁量にゆだねられており、国家賠償法一条一項の適用上の違法と評価されるのは、その判断が著しく不合理であって、裁量を逸脱又は濫用していると認められる場合に限られるとした事例

(名古屋地判平29・11・9)

▽従前金融資産の中長期的運用による利息や分配金・配当金等を収入として生活していた高齢の寡婦に対して、短期的な乗換え売買を繰り返す利益重視の積極的投資運用に転換することを勧め、それにより多額な損失を生じさせる可能性について具体的に理解させるために必要な方法及び程度をもって説明しなかった場合につき、説明義務違反の不法行為が成立するとされた事例

(岡山地判平29・6・1)

労 働

○高速道路の巡回、管制、取締等交通管理業務を行うことを主な事業内容とする会社に勤務し巡回等の業務に従事していた労働者が自殺したことについて、右労働者は、その上司からひどい嫌がらせ、いじめを受けたことによる強い心理的負荷により自殺直前頃うつ病を発症し、うつ病が原因となって自殺をしたものであり、右労働者の死亡は、労働者災害補償保険法にいう業務上の死亡に当たるとした事例

(大阪高判平29・9・29〈参考原審:大阪地判平29・1・30掲載〉)

刑 事

◎花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について、警察署副署長に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しないとされた事例

──明石花火大会歩道橋事故上告審決定
(最三決平28・7・12)

○一 高齢者の万引き窃盗につき、弁護人の精神鑑定請求を却下して完全責任能力を認めた第一審の訴訟手続には法令違反があるとされた事例(①事件)

▽二 ①事件の差戻審として精神鑑定を実施し、被告人はアルツハイマー型認知症にり患していると認めたが、それが犯行に大きく影響したことを否定して完全責任能力を肯定し、同認知症の影響及び再犯防止策等を考慮して罰金刑を選択した事例(②事件)

(①高松高判平28・6・21、②高知地判平29・8・7)

▽てんかんの発作により意識を喪失して自動車の正常な運転が困難な状態に陥り、衝突事故を起こした事案において、危険運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律三条二項)の故意を認めた事例

(神戸地判平29・3・29)

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