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2296

判例時報 No.2296 ※
平成28年8月1日 号 定価: 1440 円(税込)

<最新判例批評>
 君塚正臣 下山憲治 今村哲也 松井智予 桑村裕美子
 
刑法判例と実務
 ──第八回 被害者の同意──……小林憲太郎
 
■判例特報
川崎市ヘイトデモ禁止仮処分命令申立事件決定
 (横浜地川崎支決平28・6・2)
 
■判決録
<行政> 3件
<民事> 5件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

刑法判例と実務──第八回 被害者の同意──……小林憲太郎

◆判例特報◆

 一 在日韓国・朝鮮人を差別して排除することを煽動する差別的言動は、ヘイトスピーチ対策法二条に該当し、生活の基盤である住居における生活の平穏という人格権の違法な侵害行為として不法行為を構成すると判示した事例
二 当該権利者が近隣の住居で平穏に生活していることを認識し、あるいは容易に認識することができるのに侵害者が拡声器を使用したりしてする差別的言動は違法性が顕著であり、その差止請求権(妨害排除・予防請求権)が認められると判示した事例
三 法人である債権者についても人格権及び妨害予防請求権を認め、債務者主催の前二回のデモと同様の違法性の顕著な差別的言動をする蓋然性が高いとして、インターネットで主催するデモの参加を呼びかける債務者に対し、債権者の事務所の周囲の区域におけるその差別的言動を事前に差し止める仮処分命令を発令した事例
  ――川崎市ヘイトデモ禁止仮処分命令申立事件決定
   (横浜地川崎支決平28・6・2)

◆判決録細目◆

行 政

○千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和四九年条例第五五号)の議員定数配分規定の適法性、合憲性

(東京高判平27・12・17)

○一 公立小中学校等教職員団体がした教育研究集会の会場としての市立小学校施設の目的外使用許可申請に対し、これを不許可とした校長の処分に裁量権の逸脱又は濫用があり違法であるとされた事例
二 公務員の国家賠償法上の違法及び過失が否定された事例

(大阪高判平27・10・13)

○事務所賃借料・光熱費と自動車リースの支出が政務調査費の支出対象とならないとして、違法な支出の返還請求をすることを知事に求める原告の請求が全部認容された事例

(名古屋高判平27・12・24)

民 事

○一 中学二年生が少年野球チームのレクレーションとして行われた海水浴中に溺れ死亡した事故につき、引率していたチームの代表者、副代表者、保護者会会長に注意義務違反は存在しなかったとされた事例
二 海水浴客が海水浴中に溺れ死亡した事故につき、海水浴場を監視する業務を委託されていた者に注意義務違反は存在しなかったとされた事例
三 海水浴客が海水浴中に溺れ死亡した事故につき、公の営造物である海水浴場に設置・管理の瑕疵は存在せず、また、監視・救助業務を行う者に故意・過失も存在しなかったとされた事例

(大阪高判平27・9・3)

○適格消費者団体の健康食品に関する優良誤認表示の差止請求についてその必要性が無いとして棄却された事例

(大阪高判平28・2・25)

○保育園における睡眠中の幼児の死亡について、うつ伏せ寝による窒息死であるとして、保育園経営者らの不法行為責任が認められた事例

(仙台高判27・12・9)

▽石綿製品製造販売会社である原告の従業員が石綿肺等にり患したことにつき、安全配慮義務違反の責任を負う原告の、規制権限不行使の違法が認められる被告(国)に対する求償請求について、原告の負担部分を超えた支払がなされたとはいえないとして求償権が否定された事例

(大阪地判平27・12・11)

▽中学受験をする児童が多い私立小学校の六年生の担任教諭につき、当該児童にとって最も適切な受験指導を行うべき義務が否定された事例

(東京地判28・3・7)

知的財産権

○商標法五〇条所定の「使用」に該当するには、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないとした事例

(知的財産高判27・11・26)

商 事

○募集株式の第三者割当発行にあたり現物出資財産の価額が相当であることの証明をした弁護士が会社法二一三条三項に基づく責任を負う場合において、右証明が、弁護士賠償保険における「他人に損害を与えることを予見しながら行った行為」には該当しないとされた事例

(大阪高判平28・2・19)

刑 事

○一 周囲に多数の警察官がいる中で自動車を急発進させて警察官に傷害を負わせた事案において、暴行の概括的故意が認められた事例
二 自動車のドアが第三者により開けられていたという事情が介在したとしても、被告人による自動車の急発進という行為と警察官の傷害の間の因果関係が認められるとされた事例

(東京高判平27・5・29)

判例評論

三八 二〇一四年一二月一四日施行の衆議院議員総選挙について、東京都と神奈川県の複数の選挙区の選挙人らによる、公職選挙法一三条一項及び別表第一並びにこれに基づく各選挙区における選挙を無効とする訴えに対して、憲法の投票価値の平等の要求に反し、憲法上要求される合理的期間内における是正がなされておらず、憲法一四条一項等に違反するものと言えるか(消極)

(最大判平27・11・25)……君塚正臣

三九 公害紛争処理法に基づく調停において、調停委員会が第一回調停期日で調停を打ち切るなどした措置が国家賠償法一条一項の適用上違法であるとはいえないとされた事例

(最一判平27・3・5)……下山憲治

四〇 地域団体商標の効力と商品の普通名称等に商標権の効力が及ばない旨を規定した商標法二六条一項二号との関係等について判断した事例

(福岡高判平26・1・29)……今村哲也

四一 共有に属する株式についての議決権の行使の決定方法

(最一判平27・2・19)……松井智予

四二 労働者災害補償保険法の療養補償給付を受ける労働者につき、使用者が労働基準法八一条の打切補償を支払うことにより同法一九条一項ただし書の適用を受け、同項本文の解雇制限が解除されるとされた事例

(最二判平27・6・8)……桑村裕美子

※訂正箇所

●本誌141頁・4段・17行目
 誤 …平二六(ワ)七〇八号
正 …平二六(わ)七〇八号

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